慣性力から紐解く!もう一つの円運動の面白い考え方を紹介!

未分類

みなさんこんにちは!それでは、前回の続きで2つ目の円運動の考え方について紹介していきたいと思います。

スポンサーリンク

慣性力を用いた考え方

2つ目の考え方とは、「慣性力を用いた考え方」です。「慣性力」という言葉自体は聞いたことがある人も多いかも知れませんね。しかし、その意味をしっかりとらえている人は意外と少ないかも知れません。ということで、まずは慣性力とは何なのか解説していきます。

慣性力とは

「慣性力」とは「見かけ上の力」です。「見かけ上の力」と言われてもしっくりとこない人のためにもう少しかみ砕いて説明すると、「実際に存在している訳ではないけど、存在していると見なすことができる力」のことを言います。つまり、慣性力とは重力や摩擦力のように実際に存在する力ではありません。ただ、ある特定の場面において、慣性力があると仮定すると現象の把握に都合が良いことがあります。ちなみに、遠心力も慣性力の一種です(※2)。

それでは、慣性力をどのような場面で仮定すると都合が良いのかについて、次で説明していきます。

慣性力を用いた考え方とは

慣性力の存在を仮定すると良い具体的な場面とは、「運動している物体に乗っている人の視点で考える時」です。これは人が加速度を持っているとも言えますが、加速度を持つ人が同じように運動する物体を観測する時は、特別に見かけ上の力である慣性力が物体に働いていると考えないといけません。

例えば、加速度aで動いている台車があったとしましょう。傍から見ると台車とその上にある物体が動いているように見えますが、台車の上の観測者から見ると、自分が止まっていて周りの物が進行方向とは逆方向に加速度を持って動いているように見えますよね。つまり、台車の上の人にとっては、自分以外の全ての物が、実際の進行方向とは逆向きに引っ張られるような力が働いているように見えるわけです。

しかし、そうすると、静止しているように見える台車上の物体にもまた、引っ張られるような力が働いていると考えられます。したがって、例えば台車上の物体の運動について考えるとしたら、静止している物体に力が働いているように考えられるので、「力のつり合いの式」を立てて考えていきます。また、この時に物体にさも働いているように考えた力を「慣性力」といいます。

以上より、運動している物体に乗っている人の視点で運動を考える(自分が加速度を持った立場で運動を考える)時は、慣性力(=ma)が運動している物体に働いていると考えて「力のつり合いの式」を立てましょう。

円運動における慣性力を用いた考え方(遠心力の活用)

それでは、とうとう円運動の2つ目の考え方の紹介です!ここでは、慣性力を用いた円運動の考え方を紹介していきます。

1つ目の考え方では、円運動している物体を外側から観測し、運動方程式を立てて運動を考えていきました。一方で、2つ目の考え方では円運動をしている物体の立場で考えていきます。

まず、円運動している物体は外側の地面から観測すると、回転の中心方向に向かう力を持っていましたね。つまり、物体の上の人の立場から見ると、自分以外の周りの物全ては、回転の中心方向とは逆方向に向かう力を持っていると考えられるわけです。したがって、物体には回転の中心方向に働く力と同じ大きさの力が、回転の中心とは反対方向にかかると見ることができます。これが円運動における慣性力となり、いわゆる「遠心力」といわれるものです。

以上より、円運動について慣性力を用いて考える時は、物体に実際に働く力と慣性力(見かけ上の力)による力のつり合いの式を立てて考えていましょう。ちなみに、式変形をすると円運動の運動方程式と同じ形になるはずです。

スポンサーリンク

今回のまとめ

どうでしたか。慣性力はその意味をしっかり理解しておかないと惑わされ易い所なので、この機に意味をしっかり抑えて欲しいと思います。

それでは、今回のまとめです。

・「円運動」では、「円運動の運動方程式」を立てる考え方と、慣性力の「力のつり合いの式」を立てる考え方がある。

・慣性力は「実際に存在しない、見かけ上の特別な力」である。

・慣性力は、加速度を持つ人が物体の運動を観測する時(運動している物体の立場で観測する時)に働いていると考える。

 

以上です。おつかれさまでした!

 

※【捕捉】慣性力・遠心力について

実は、遠心力を含む慣性力はニュートン力学では「実際に存在する訳ではない、見かけ上の特別な力」とされていますが、世の中には遠心力が実際に存在する力であるという見方もあります。例えば、工学などではニュートン力学を用いつつも、遠心力は実際にあるものとして考えたりしているところがあります。ちなみに、高校物理で教わる考え方はニュートン力学です。したがって、高校生などは受験が終わるまでは遠心力は見かけ上の力と考えて、もし工学分野に進んだら、遠心力もあるかもしれないと考えるのもいいかも知れません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました